顧客を中心に考える大切さ

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自社で時間やコストをかけて研究開発をした製品や、販売する商材には、必ず自社の製品戦略が伴います。戦略は、市場参入時から成熟時、そして衰退時に応じて異なります。教科書でも学べる基本的な事業戦略の形です。

どの製品にも市場にも、成長期があり、そして成熟期があります。現在市場でよく知られている製品にも、かつては成長期があったはずです。

今は完全な車社会のアメリカにも、かつて、鉄道産業が急成長している時代がありました。その後鉄道産業は衰退してしまいました。

アメリカの鉄道という産業が衰退した理由は、お客さまである旅客がいなかった、もしくは減ってしまったわけではありません。アメリカの鉄道産業が衰退した理由は、自動車やトラック、航空機などの他の代替手段にお客さま(旅客)を奪われてしまったことにあります。

そもそもアメリカの旅客は「鉄道で移動したかった」のでしょうか?

市場のニーズを自社の優位性と読み違えてしまう

旅客のニーズは、短時間で便利に移動したい、もしくは(荷物などを便利に)移動させたい、ということでしょう。アメリカの鉄道会社は、本来なら輸送産業と定義すべきであったところを、自らを鉄道産業としてしまいました。 

つまり、かつてのアメリカの鉄道会社は、旅客である市場の需要を満たすという行為を放棄したのです。

当時の鉄道は、他の輸送手段と比べると、鉄道そのものに技術的な優位性があったでしょう。技術的な優位性に固執するあまり自社の事業ドメインを狭く定義してしまい、その結果、時間とともに衰退してしまったのでしょう。

当時のアメリカの鉄道会社の経営者が、鉄道という技術によって収支を産み出した大胆な経営手腕を、「お客さまを満足させる」ということに注力し続けることができたら、輸送事業において成長の機会を継続することができたでしょう。

お客さま中心の視点の経営を徹底すれば、鉄道は輸送産業として成長し続けることができたかもしれません。

衰退市場は経営の失敗が原因である

とある成長市場は、時間がたつにつれて成長が鈍化し、やがてマイナス成長(衰退)します。どんな花形産業でも、いつか衰退の影が忍び寄ってきます。

花形産業の成長が止まる原因は、市場の飽和ではありません。その市場で事業を営む会社が経営に失敗したからです。そもそも何もしないで会社が成長し続けることができる市場などありません。

成長する企業は、自らが成長の機会を創り出し、成長の機会に対して大胆に投資できるように組織を変化させるという経営の基本ができています。このような企業だけが成長できるのです。市場が企業を成長させているわけではありません。

成長の機会は、製品の技術力だけではまかないきれません。先ほどのアメリカの鉄道の例のように、お客さまを満足、そして創造し続けることで、事業の成長機会を作り出さねばなりません。

事業とは、製品を開発・生産するプロセスではなく、顧客を満足させるためのプロセスであると言えるでしょう。企業が売ろうとするものは、売り手側の都合で決まるのではなく、買い手側であるお客さまによって決まります。

鉄道会社は、鉄道の技術革命をし、路線を拡張することで、乗客を増やすことが仕事ではありません。安全かつ迅速に移動したいという顧客のニーズを満たすことが仕事です。鉄道会社は、輸送についてのニーズを十分に満たすことが仕事である正しく自覚したなら、驚くほどの利益を生み出す成長をしたのではないでしょうか。

企業におけるミッションは成長し続ける企業が持つ証である

多くの企業は使命があります。いわゆる企業のミッションというものです。社会にとっての存在意義を示す企業が増えています。

もし営利を目指す企業があったとしたならば、その役割は、自社の製品とお客さまの金銭を交換することで、キャッシュフローを創出することになります。その交換によってどんな価値が生まれたかは、全く関係がありません。アメリカの鉄道会社が、鉄道への乗車を提供することで金銭を得ていたように。

もしアメリカの鉄道会社が「人々の便利な移動を身近にする」をミッションとしてかかげていたら、鉄道だけにとどまらず、お客さまニーズを満たし続ける企業になっていたでしょう。

自社のミッションを掲げ、従業員がそのミッションの意味をしっかりと理解すること。とても大切です。